糖尿病の治療ガイド

-糖尿病のインスリンポンプ-

糖尿病のインスリンポンプ

インスリン製剤の治療

インスリンは、膵臓(すいぞう)から分泌されるホルモンで、血液中のブドウ糖を全身の細胞に取り込ませて、血糖値を下げる作用があります。インスリンが少なかったり働きが悪かったりすると、血中のブドウ糖が増えたままになります。

1型糖尿病は、インスリンが出なくなるため、毎日のインスリン製剤の注射が一生欠かせません。

インスリンの分泌を詳しくみると、膵臓から常に少しずつ分泌される「基礎分泌」と、食事で血糖値が高くなると多く出る「追加分泌」があります。

1型糖尿病のインスリン製剤の治療では

  1. 基礎分泌に相当し、効果が長時間続くタイプを就寝前に注射する
  2. すぐに効果が表れ、追加分泌にあたるタイプを3度の食事の前に使う

など1日数回の注射が必要です。

しかし、量や注射のタイミングがうまく調整できないと、効き過ぎて低血糖になったり、足りずに高血糖になったりすます。


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インスリンポンプ

インスリンポンプは、携帯電話サイズのインスリン注入器で、患者の腹やももなど、皮膚の下に入れたカテーテル(細い管)から、薬を注入します。一気に注入する注射と異なり、微量のインスリンを24時間、自動的に流し続けます。これは基礎分泌に相当します。

インスリンポンプは、本体は服のポケットに入れて持ち運ぶことができますので、食事前などにスイッチを押せば、追加分泌に相当する量を追加注入できます。

安定した血糖管理ができ、低血糖や高血糖の危険を減らせます。血糖値が上がりやすい夜中や明け方に増やすなど、注入量を時間帯に合わせて設定できる機種もあります。

カテーテルの交換は1日または3日に1回でよく、注射する痛みや手間が少ない点も長所です。米国の研究では、注射に比べ、ポンプを使った方が血糖の管理が良く、低血糖の発生回数も少なかったそうです。

このようにインスリンポンプは、膵臓の自然な分泌に近い注入が実現できる、簡単で安全な治療法です。低血糖でけいれんなどの重い症状が頻繁に表れる人や、食事や睡眠が不規則な人などにもインスリンポンプが向いていると言います。

ポンプを使うには医師の診察が必要です。保険がきき、患者の自己負担は、3割負担なら注射療法に比べて1か月3000円高くなります。

米国では24万人以上が使っているのに対し、日本では2000人(推定)と少ないです。機器が数十万円し、現在の保険点数では病院側の経済的負担が大きいことが普及しない一因とされています。


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